引用元: その神経がわからん!その11




716: 名無しさん@おーぷん 2015/09/15(火)20:53:53 ID:n4o
昔々の母の友人の神経わからん話。
プロローグが長いのは勘弁w

私の両親は昔から田舎暮らしに憧れていて
兄と私が大学生になったらふたりとも早期退職して(共働きだった)
田舎暮らしを始めるという計画は結婚前からふたりの夢としてあったそうだ。






父も母も一人っ子で、ふたりとも20代前半で親を亡くしているので
相続した遺産はあるが、夢に対して反対する者はいないという
条件がうまい具合に揃ってたこともあった。

私たちの家族旅行は、最初のうちはその“終の棲家”となる土地探しだった。
海沿いの田舎町より山岳の田舎町希望だったらしくて
とにかく山ばっかり連れて行かれた。

私が中学に入った年に、中央アルプスが見える田舎町に決まって土地を購入してからは
長期休暇の度にそこの近くの温泉地で泊まったりバンガローを借りたりして
四季の過ごし方に慣れるようにした。
一方で父も母も社交的な人だったので、買った土地周辺の人たちと交流を持ち
家に帰れば家庭菜園や日曜大工を勉強したりと、着々と準備をしていた。

そして私が大学に入学した年に、父と母は予定通り早期退職し
父は独立してフリーランスになった。

717: 名無しさん@おーぷん 2015/09/15(火)20:54:09 ID:n4o
元々は田舎暮らしのあとは自給自足で細々やってくつもりだったらしいが
時代の流れか、在宅でもできるように上手くシフトチェンジできていた。
その時両親はそろって50歳になったばかりだったけど
娘の私から見ても、よくこんなに計画通りに上手くやったもんだなと感心したもんだった。
もちろんそれまでの準備にかかる苦労も見てきたわけだけど。

新居が出来上がって引っ越しの時には、すでに友達になっていたご近所さんが
大勢手伝いに来てくれて、うちの両親に限っては田舎の人たちとの確執など皆無だった。


Iターンして半年ほどたった頃の事。
連休に、母が昔の友人たちをかねてからの約束通り新居に招待した。
私も大学が長期休みの時はマメに新居に帰っていて、おもてなしのお手伝いをしていた。
新居に招待するほど仲のいい母の友人はたいてい顔見知りだったけど
ひとりだけあまりいい感情を持てないおばさんがいた。Aさんとする。
他の人たちは「素敵ね」とか「こんな暮らししてみたいわ」と言いつつも
ざっくばらんに「でも現実的に無理だわ」とか「旅行ならいいけど暮らすのは無理」とか
正直な感想を言っていて、母も笑っていた。そりゃあそうだろうと思うし。


けどAさんの食いつき方は私が横で見ててもちょっと怖いぐらい。
早期退職するまでにいくら貯め込んだのかとか、この辺りの土地は坪いくらだったかとか
新居建てるのにいくらぐらいかかったかだとか、お金の話をぐいぐい聞いていた。
母は「田舎だから都会で家建てるほど高くないのよ」と、確かそんなふうに応じながら
具体的な金額の明言を避けていた。

718: 名無しさん@おーぷん 2015/09/15(火)20:54:29 ID:n4o
母の友人たちは、この生活が長い間準備をしてきた長年の夢だったことを知ってるから
「漸く夢がかなったね」って感じで喜んでくれたけど、
Aさんも同じようにここまでの道のりを知ってたはずなのに、なにか食いつき方がおかしかった。

そして一年ぐらい経って、1キロも離れていないところにたまたま売りに出されていた古民家を
Aさん一家が買って引っ越してきた。
その古民家は私も面白半分で見学に行ったことがあるけど、
記憶が間違ってなければ当時で売り値300万ほどだけのことはあるという感じの家だった。

回りの土地も雑草だらけだったし、購入者がメンテナンスして暮らすような家。
Aさんの旦那さんはリストラされた後、再就職もままならず
子供もいない夫婦二人暮らしなら、田舎に引っ越して自給自足で暮らしていけると思ったようだ。
ついでに、我が家に遊びに来た時に近所の人たちがしょっちゅう訪ねてきて
採れたての野菜とか持ってきてくれたのを見てて、田舎の人間関係も意外と楽だと思ったみたい。
旦那さんは嫌がってたようだけど、立場的に抵抗できずAさん主導で始まった田舎暮らしも
自分たちで補修しようとした家も上手くいかず、夫婦喧嘩ばかりしてるようだったが
3ヶ月と経たず旦那さんは姿を見せなくなり(別れたのかどうかは知らない)
残ったAさんも最初こそうちの母や、母の友達になったご近所さんが色々助けて
どうにか暮らしていたようだけど、初めて迎えた冬に耐え切れずに
うちに入り浸るようになり、夜になっても帰らないことが増えた。

719: 名無しさん@おーぷん 2015/09/15(火)20:54:46 ID:n4o
両親がAさんに、自分たちがどういう準備をしてきたか改めて話をし
一度地元に戻ってはどうか、それからもう一度ここで暮らせるかどうか
よく考えれてみればどうかと話しをしたら、それを「迷惑だから出て行け」と受け取ったらしく
(まぁ実際迷惑は迷惑だったと思うけど、当然だと思う)
帰ったあと、そのまま家を放置していなくなった。
買ってしまった家はそのまま買い手もつかず朽ちていき、今の所有者は誰だか知らない。

その後、他の母の友達は時々遊びにきてくれたが
Aさんの話はタブーみたいな感じになっていた。
そして20年近く経って母が亡くなったんだけど、その時に母の旧友たちをもてなしていて
初めて聞いた話がいくつかあった。

Aさんは地元に戻ったあと、嘘八百を並べ立てて母を批判していたそうだ。
田舎暮らしを始めたのは母の口車に乗せられたとか、
なのに引っ越して行ったら迷惑がられたとか、もう地元に帰れ!と言われたとか。
旧友たちは、私の両親が夢を叶えるまでの過程を良く知っていたし、母の性格も知ってるし
ついでに言えばAさんが言ってることは嘘だってわかっていたから
誰もAさんに同情する人はいなくて自然と疎遠になっていったそうだ。


私は自分が親と同じことをしろと言われたらとても無理で、
たまに帰省するから田舎っていいなと思えるけど、
兄と兄嫁はすごく田舎暮らしが合ってるみたいで、増築して一緒に住んでる。
こればっかりは向き不向きだと思うけど、いきなり行って簡単に溶け込めるものではないのは確か。
Aさんのあまりの浅はかさに神経分からんと思った。

720: 名無しさん@おーぷん 2015/09/15(火)21:14:54 ID:Lpu
貧すればなんとやらだったんだろうね
人の苦労が見えない人ってのは結構いる
Aさんはそのタイプ

>>719さんの親御さんは
本当に計画的に進めてて、
田舎暮らしをすると言うか
新しい土地に住むってことを
よく考えてらっしゃったのね
読んでて勉強になったわ



引用元: その神経がわからん!その11