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483: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:09:11.22 ID:P1VUjXiJ0
そして、夏のコミケが来た。 
夏コミは青春って感じがして、ほんとうに楽しい。 
あくまで個人的感覚だが、
若さと情熱で溢れている。 

俺は友人のスペースで、
そに子と友人と一緒に、本を売った。 
前回同様、マッタリとだが本ははけてくれた。 

すると、予期せぬ人が訪ねてきたのだ。







484: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:13:37.25 ID:P1VUjXiJ0
来たのは、石田さんだった。
石田「よ、頑張ってるねー」
友人「おっすー」

俺「あーおつかれー」
正直、ドキッとしてしまった。
純粋に、来てくれたことを嬉しく感じた。

この時、そに子はどんな風に思っていたんだろうか。

485: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:16:48.03 ID:P1VUjXiJ0
その後は特にイベントもなく
コミケ終わった後
石田さん含めて俺たち4人でメシを食べに行った。

俺は、その最中も石田さんに
受験関連のことを聞き続けた。
石田さんに少し惹かれていたのか、
「美術の先生のなるんだ」
ってことばかり考えていたのか。
両方だったと思う。

そに子はどう思っていたのだろうか。

486: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:19:37.07 ID:P1VUjXiJ0
その後、定期的に
石田さんから連絡がくるようになった。
俺はそれが悪い気はしなかった。
もちろん、そに子への好意は全然生きていたし、
石田さんとの関わりは
自分でもよく分からない感情だった。

でも9月に入ると、
そんな寝ぼけたことを言ってられない
大きな壁にぶち当たる。

487: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:23:24.35 ID:P1VUjXiJ0
母の体に癌が見つかった。
元々俺の家は片親だった。
母と、社会人の兄。
稼ぎ手も二人いたので、
経済的に困ったことはなかったが。

兄に一度帰ってくるように言われた。
母は入院したらしい。

「これからどうなるんだ?」
「母さんは、どうなるんだ?」
混乱した。とりあえず実家に帰ることにした。

490: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:29:40.85 ID:P1VUjXiJ0
母は手術をした。
手術は上手くいった。
しかしリウマチを発症した。
リウマチとは、手足がかたまって、
時期に動かなくなる病だ。
それに進行の早いものだったらしい。

兄「母さんはなんとか大丈夫だったけど、分かってるよな?」
俺「うん…もう働けないし、段々世話も必要になる、ね…」

兄「お前大学辞めるとか言ってたけど」
兄「今まで俺たち散々母さんに迷惑かけてきたんだから」

俺「……」

兄「諦めろ。母さん生きているウチに自立して、立派なとこ見せるんだぞ」

この時俺は号泣していた。
どうしてこんなことになってしまったんだろう?
自分が世界で一番不幸なんじゃないか、って思うくらいだった。

491: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:36:48.85 ID:P1VUjXiJ0
夢が敗れた気がした。
夢を追いたい、
でも今から大学に一から行き直したら…
母が生きてるうちに、
立派な社会人になりたい…

母にはどれだけ迷惑をかけたか。
幼い頃から、
俺たち兄弟をずっと育ててくれた。
いつか恩返しをする。

そして、俺は人一倍人の死に敏感になってた。
板尾を失った時のことを思い出して、
どうしようもなくなった。

諦める。そして真面目に就活して、絵は趣味にする…
そう、決心した。

492: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 20:38:03.72 ID:/qSLdoGG0
波乱万丈すぎわろた・・・

493: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:44:14.84 ID:P1VUjXiJ0
母が退院するまでしばらく俺は実家にいて、
兄と協力して車を出したり、
病院に行ったりしていた。

地元にいると大学の友だちと会えなくて辛かった。
もう授業も始まっていた。
でも、俺はこの「諦める」と決心した時、
まず最初に石田さんにメールした。
泣きながら。

特に深い意味はなかったと思う。
今まで散々学芸受験の相談にのってもらったし、
諦めるなら、はやくそのフシを
石田さんに伝えるべきだと思った。
もちろんそに子とは電話とかたくさんしていたし。

俺は石田さんに細かい経緯とかも伝えた。
今思えば、石田さんには
そんなに込み入った事情まで
言うべきじゃなかったって反省してる。

でもこういう時って、
本当に誰かに話したくなるんだよな。
俺辛い、辛いんだよ~って。

495: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:54:00.76 ID:P1VUjXiJ0
話ももう佳境です。
八割くらいきたと思います。
今日中に終わることを目標にします。ごめん、長くて。


それから数日経った日の夜、石田さんから、
「〇〇駅に来て」とだけのメールが来た。
その駅は俺の実家の最寄りだった。

駅に行くと、
石田さんが笑ってベンチに座っていた。
田舎の駅だから、平日夜でも人はまばらだった。

497: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 20:58:11.18 ID:P1VUjXiJ0
石田「ちょうど私も地元に帰ってきたからさー、元気かなと思って」

明らかに嘘だった。
こんな時期に、大学生が帰郷なんかするか?
まあ本当に何かあったのかもしれないが。

俺「そうなんだ」
石田「直接話したかった…元気かなって。無理してるんじゃないかって」
石田さんはきまり悪そうに笑った。

なんて言ったらいいか分からなかった。
上手く話せなくて
何時間くらいそこに座っていたんだろう。

500: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 21:00:39.02 ID:2vWT++QeO
ハラハラしながらもみてるよ…!もうそろそろで終わりか…

501: 名も無き被験体774号+ 2011/12/13(火) 21:02:31.72 ID:KYvDUGdY0
もうちょいで終わりか…
結末を楽しみにしてる

502: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 21:04:06.78 ID:P1VUjXiJ0
今思えば、
石田さんは真っ直ぐな人だったんだろう。
一瞬美保を想起したが、
それは考え過ぎだった。

石田「華丸くんはさ…そに子ちゃんが大事だよね。」
俺「誰よりも大事だと思うよ。」

石田「わたしはさ…ダメかな、ダメかもね…」
俺「……」

嫌な予感はした。
告られたらリア充とか言われそうだが、
この時の精神状態で、
誰かを振るというのは、きつかった。
なにしろ石田さんとの関係性は失いたくなかった。

504: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 21:06:27.45 ID:KTrBpjk70
石田さんずるいぞーこのタイミングはずるいぞー

505: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 21:07:44.35 ID:sxn5ziRO0
ここらで焦らしてくれてもいいんだぜwwww
アッサリ終わるには惜しい話だ

506: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 21:07:46.30 ID:P1VUjXiJ0
石田「あたしはね…華丸くんが好きなんだ…」

嬉しいことである。とても嬉しい。
でも、今言わないで欲しかった。
もっと別に仲良くやっていく方法もあったはずだ。

俺「ありがとう…でも…俺は…」

石田さんは強かった。
表情一つ変えなかった。
覚悟もしていたのかな。

石田さんは笑って、
石田「じゃあさ、儀式しようよ!」
と言い出した。

俺「儀式…?」

508: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 21:08:46.22 ID:P1VUjXiJ0
>>505 ありがとうwで
もなんやかんや言って実はまだけっこう長いから、
今日中には終わらないかもw

509: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 21:14:21.47 ID:P1VUjXiJ0
石田「わたくし、石田ゆり子は、博多華丸のことが、大好きです。
良かったら…付き合ってください!」

俺「ありがとう、ごめんなさい…」

石田「ふられちゃった」
石田さんはニシシとばかりに苦笑いした。

正直、その時俺は気持ちが持って行かれるんじゃないかと思った。

石田「恋人がいる人に告白するなんて、あたし卑怯だー」
石田「そに子ちゃんはいい子だもんね、あたしもがんばる」

何も言えなかった。

511: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 21:17:31.10 ID:P1VUjXiJ0
石田「華丸君は頑張りすぎないでね」
石田さんはそう言って改札をくぐっていった。

最後まで何も言わなかった気がする。
遠くで手を振られて、
ただ振り返すしかなかった。

あまりに叙情的な景色だったから、
ハッキリと覚えている。
自分でもなんだこの状況?ってなった。

心にぽかんと穴が開いたみたいだった。

514: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 21:20:00.99 ID:OdZOWMJl0
俺も辛いわこんなの

515: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 21:21:11.09 ID:P1VUjXiJ0
さて、このタイミングで申し訳ないのですが、
ちょっと晩飯を食べてきます。
なので30分ほど時間あけて、
また再開しますね~

516: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 21:32:55.46 ID:OdZOWMJl0
おk
待ってるよ~

517: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 21:43:56.57 ID:J+ORkLJU0
このスレくる度に泣いてる

519: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 22:11:21.17 ID:P1VUjXiJ0
晩御飯からもどりました。
正直、こんなにたくさんの人に自分の話を
見てもらえるなんて思ってもいなかったです。
ここまで続けるのは大変でしたが、
みんなの応援のお陰です。

あと少しになってきましたが、
最後まで付き合って頂けたら嬉しいです。

521: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 22:20:50.22 ID:Wl6eAC7i0
おかえりー
ゆっくりでも見てるよ

522: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 22:22:11.24 ID:EcMflnFy0
泣きそうだよ

ゆっくりでいいから投下してってくれ

526: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 22:45:45.48 ID:P1VUjXiJ0
石田さんとの時間は、夢
を見ているかのようだった。
まるで、中学生に戻ったかのような、
そんな青臭い自分を感じた。

家に戻ると兄が玄関にいた。
兄「女か。」

昔から兄は鋭かった。
母の病院に行かない夜は
何があってもいいように
一緒に家にいて、
二人で格ゲーをやっているのが普通だったからだ。
遅い時間に帰ってきたから不審に思ったんだろう。

兄「地元の友達にでも会ってきたのか」
俺「ま…そんなとこ…」

528: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 22:52:33.79 ID:P1VUjXiJ0
俺は、次の日かかりつけの眼科に行った。
思えば、小さい頃はよく母と病院にきたものだ。
この眼科もそうだった。

俺は診察の時先生に言った。
俺「実は母が…」

先生「そんなことがあったのか…華丸君が小さい時から知ってたからなあ
辛いけど、今はそばにいてあげて」

先生は初老のじいちゃんだ。
これが田舎の地元のいいところだ。

地元に戻れば、家族みたいな人がたくさんいる。
俺は元気をだそうと思った。

529: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 22:58:29.16 ID:P1VUjXiJ0
このじいちゃんにも、
半年に一回の受診でしか会わないのに、
こうやって心配してくれるんだ。
石田さんだって、
心配だったんだろう…

母のことで鬱屈としていた俺は
元気をだそうと思った。

じきに、母は退院した。
癌の方は一旦おk、ということになったようだった。
これからは自宅で、
クスリで再発防止の抗がん治療をするようだった。

しかしリウマチがあったので、
しばらく自宅で療養することになった。

あまり大学を休み続けるわけにもいかなかったので、
俺は実家から戻ることにした。

530: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:05:12.39 ID:P1VUjXiJ0
久しぶりにもどってきた。
大学、絵、何もかもが久しぶりに思えた。

そに子がすごく心配してくれた。
なんだかほっとした。

だんだんと、日常をとりもどしていく気がした。
できる限り、実家のことを思い出さないようにしていた。

逃げていたのだろう。
向き合うのが辛かった。

531: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:08:14.48 ID:P1VUjXiJ0
目的を失った俺は
どうしたらいいか分からなかった。
夢…就活…
この頃絵を描くのがすごくつまらなくなった。

なんで描いているんだろう?
分からなくなった。
板尾がいたらなんて言ってくれたろう。
なんでアイツはあんなに
絵を描くのが好きだったんだろう。

俺は分かって気になっていたが、
分かっていなかったんだ。

534: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:14:57.61 ID:P1VUjXiJ0
そもそも、俺が絵を描くきっかけだったのは板尾。
板尾がいなくなって、
俺は板尾の代わりに夢を追うような、
そんな気持ちで居たのかもしれない。

異性不信を克服するため、
また恋ができるように、
落ち込んでいた俺を板尾が
変えるために絵を薦めた。

今ではすっかり異性不信もなくなったし、
そに子がいた。

絵を描く意味が分からなかった。
絵を描く必要があるのか。
そう考えだした。

535: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:18:46.30 ID:P1VUjXiJ0
そんな俺に、そに子が言ってきた。
そに子「冬のコミケの当落、もうすぐだね~」

コミケ…?
俺は夏にそに子と一緒に
冬コミの申し込みをしたのだった。
と言っても、そに子が張り切っていたので、
全部そに子に任せていたのだが。

俺「コミケ…ね。一人で本出すってのでも…いいんじゃない?」
そに子「…え?」

俺「いや…絵を描ける気がしないし、本出せないわ、絶対」

536: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:23:25.78 ID:P1VUjXiJ0
そに子「絵…描かないの?」
俺「もう、描かないかもね…わかんね」

そに子「そんなん嫌だよ…そんな華丸さん嫌だ」
俺「なにが?」

そに子「なんで…絵楽しいって言ってよ、一緒に楽しく絵描こうよ」
俺「うるさいなあ、お前に何が分かるんだよ」

そに子「なんで?急に?絵描くでしょ?描かないなんて言わないでよ!」
俺「描かないもんは描かないんだよ、大体こんなもんなあ…!」

珍しく、大喧嘩だったと思う。

537: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 23:26:25.17 ID:qZfDZq1S0
まだ18歳のそに子には重過ぎる事態・・・

540: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:33:35.79 ID:P1VUjXiJ0
そに子は泣きしだした。
そに子「どうしちゃったの…嫌だよ、こんなの嫌だ…」

俺「俺だって分からないんだよ、
なんで絵を描くのか。
絵を描いて夢を追う、
それが全てだったんだよ。
それがなくなった今意味なんて…」

そに子「絵を描くことに意味なんているの?
楽しくて描いてたんでしょ?」
俺「板尾がいた時は楽しく描いてたよ…
わかんねえんだよ俺も…
アイツがいないと、描く意味ないんだよ…
夢を追ってれば俺の中で
板尾がい続ける気がしてたんだよ…」

そに子「そんなの全部言い訳にしか聞こえないよ!
そもそも、板尾さんの夢は
板尾さんだけの夢じゃないの!?」

そに子は珍しく感情むき出しだった。

そに子「逃げないでよ!現実から!
受け止めてよ…夢を諦めたって、
華丸さんが絵を描き続ければ
板尾さんは生き続けるでしょ!?
板尾さんが華丸さんに
絵を教えてくれたんでしょ!?
そこで描くのやめてどうするの……?」

542: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:37:38.68 ID:P1VUjXiJ0
もう、ボロボロだった。

そに子「それに、私は華丸さんの絵が好きだもん…
わたしだけじゃないよ、
きっと、今まで本を買ってくれた人も、
PIXIVを見てくれる人も…
そういう人たち、
みんな寂しい想いするんだよ…」

最早聞き取れないくらいに泣いていた。

俺「……」

俺はあっけに取られて、
何も言えないでいた。

543: 名も無き被検体774号+ 2011/12/13(火) 23:44:18.29 ID:RYEBXq840
ちょっ、そに子があまりにいい人すぎて涙出てきそうだわ。

544: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:46:47.23 ID:P1VUjXiJ0
そに子がこんなに泣いている。
俺は、俺は……

そに子「絵を描くのは…好きでしょ?」

俺「……好きに決まってるだろ」

絵を描くのは好きだ。
だから今までずっと描いてきた。
下手なりに、もがきながら、
見てくれる人たちがいたし、
ひたすら描きたいものを描いてきた。

思えば、絵を通してどれだけの人に出会い、
どれだけの人に支えられたのか。
板尾もそう、そに子もそう、
遠藤や石田さんだってそうだったろう…。
コミケで俺の本を買ってくれた
一人一人の顔も覚えてる。
あの日、完売した俺たちに拍手をしてくれた
隣のスペースの人たちのことも…


気づけば俺もボロボロだった。

俺「…描いて…みるわ…」

そに子「わたしより可愛い女の子、描いてよ」

俺「…それはどうかな…w」

泣きながら笑っていた。よく分からなかった。

545: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:53:00.75 ID:P1VUjXiJ0
俺は、この年の冬コミに
全力でぶつかることにした。

と言っても、
普段通りに描くだけだったのだが。
普段通りのページ数で、
普段通りの絵で、
普段通りのイラスト本。

一緒に一冊作ろうと思っていたが
俺はこの一件で怒られたので

そに子「どっちが早く完売するか勝負する!」

と言われて結果個人本を描くことになった。
頑張りつつも普段通り。

それが楽しかった。
絵を描くのが、楽しかった。

547: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/13(火) 23:56:49.11 ID:P1VUjXiJ0
俺は板尾に昔言われたことを思い出していた。

「理想の女の子を紙におとしこめよ」

やっぱりそれが楽しかった。
そに子には悪いが。

吹っ切れてからは、
絵を描くのが楽しくて仕方なかったなあ。
本当に楽しかった。

でも俺にはもう時間がなかった。

549: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/14(水) 00:01:16.94 ID:sGeGsGTv0
このままいけば今日中に完結できそうです。
みなさんよかったらお付き合いください…


そして、晴れて冬コミの日がやってきた。
俺もそに子も、
もうワクワクが止まらなかった。

もう、存分に楽しんでやろう、そう思ってた。

そに子「ひえ~…相変わらずすごい人…」
俺「毎回サークル入場だと、なんか申し訳なくなるな…w」

ビッグサイトのやぐら橋前には、
相変わらず信じられない数の人がいた。

550: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/14(水) 00:05:24.26 ID:sGeGsGTv0
コミケは、始まる前も楽しい。
そに子も俺も、
相変わらず自分の本を見ると、
興奮が止まらなかった。

知り合い、憧れの作家さんに挨拶に行って、
前回のコミケの話とかしたり。

見本誌提出するのにテンパったりw

始まる前のワクワク感、ってのは
言葉にできないものだ。

551: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/14(水) 00:10:56.19 ID:sGeGsGTv0
「これよりコミックマーケットを開催いたします…」

ぱちぱちぱち…!

そに子「ああ、始まった…」
そに子は相変わらず顔真っ赤だった。

俺「たまんないよな…この瞬間」

そに子はオンデマンドフルカラーで30部、
俺もオンデマンドフルカラーで50くらい。
決して冒険をした部数ではなかった。

「新刊一部、ください」

この言葉を聞くたびにこう、
体が熱くなるのを感じた。

「ありがとうございます!!」
絵を見てくれる人に
実際に向き合って本を渡す喜び。

この日そに子も俺もそれを肌で感じた。
去年の冬コミくらいの感動が、あった。

552: 華丸 ◆vk8BsG8fow 2011/12/14(水) 00:14:39.46 ID:sGeGsGTv0
「絵を描くのって楽しい…」

「描いてて良かった…」

そんなことを感じていた。

そに子も俺も、午後に本は完売した。

そに子「ど、どうしよう~」
そに子は案の定半泣きだった。

俺「頑張ってよかったね。」
これは去年の冬に板尾が言っていたことだ。

そう、頑張って良かった。
絵を描いててよかった。

笑ってはいたが俺も泣きそうだった。
これからもずっと、絵を描くぞ…

ただ、俺にはもう時間がなかった。

引用元: 絵を描き続けたら人生救われた


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